大沢成二写真展(案内)
天と地をつなぐ
Connecting Heaven and Earth
大 沢 成 二 写 真 展
Seiji Ohsawa PHOTO EXHBITION at α PLAZA OSAKA
2025.1.11 sat. – 1.31 fri. 11:00 – 20:00
αプラザ(大阪)
〒530-0001 大阪市北区梅田2-2-22
ハービスエント 4Fソニーストア 大阪内
Photo by Seiji Ohsawa Calligraphy by Ai Ohsawa
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古来より日本人は巨木を神として崇めてきた。それは仰ぎ見る「天」と足もとの「地」を「つなぐ」ように立つそれに神聖性を見出したことが理由ではないだろうか。
屋久島に住んで縄文杉を撮るなかで、私はそのような仮説を立て、それを検証する為にも国内の著名な巨木を訪ねることにした。最初それは佐渡島・隠岐島などに残る古代杉から始まり、やがて各地の社叢に残る古代杉や古代楠へと展開してゆく。それらは数千年という時を経ていまなおそこに悠然とあり続けていた。
しかしそうした旅を続けるうち、当初立てた仮説とは違った想いを抱くようになった。離島の古代杉は例外として、本州にある巨木の多くは俗化が著しかった。木そのものが持つ価値は普遍だが、周辺環境がそれを許してくれないのだ。仕方の無いことだが、人を惹きつける巨木の多くは人の営みの隣にあり、そのしがらみから逃れられない。
風景は対象と背景が融合して完成するので、背景の世俗はその木の風景的価値を損なってしまうのだ。屋久島からはるばる撮影に行ってみても、ある木は「作品」として成立させることが困難な状況にあった。それは風景の背景に潜む精神性に対する日本人の無配慮を暗に示していた。いや、かつての日本人はそうした精神性こそを基礎に暮らしていたはずだ。現代日本人がそうした大切なものを失ってしまったことが、今日的な様々な問題の原因になっている気がした。各地に残る巨木はそれを我々に示しているのかもしれない。
今回私はその問題を解決する為、一部の写真で「Ai」の手を借り、その背景にある無配慮な世俗を消し去った。そうすることで、その木が本来持っていた風景的魅力を復元しようと試みたのだ。
その試みが成功したか否かは、見る人の感想に委ねたい。また、敢えてどの写真にそれを施したのかも明記しない。興味を持った方はぜひ、これらの巨木を訪問し、その違いを確認してほしい。そしてその木が本来持つ精神性に現地で触れてみて欲しいと思っている。
写真 大沢成二
1967年長野県松本市生まれ。写真家。著書に写真集「屋久島(青菁社フォトグラフィックシリーズ)」ヤマケイアルペンガイド 九州の山(山と渓谷社:共著)がある。ソニー・イメージング・プロ・サポート会員。
題字 大沢 愛
2010年長野県松本市生まれ神戸市在住。日本習字毛筆七段、書道歴7年。