北デッキから
見慣れた南デッキや正面デッキから見るのと違い、北デッキからのアングルには縄文杉に着生する多彩な樹種の根が、地上に向かって伸びている様を確認できる。言ってみれば縄文杉の舞台裏のような部分が見えてしまうので、個人的にあまりこのアングルからの写真を撮っていなかった。
しかし今回、宮之浦縦走の下山路に、8月最初の朝日に照らされた赤縄文との邂逅で、それが思い込みであったことに気づかされた。
このアングルからの縄文杉にいささかの棄損もない。それは寧ろ新たな知見を撮影するカメラマンに与えてくれるものなのだと、EVFを通じて鮮明に見える、その紅く焼ける樹肌が語りかけてきてきたように感じたのだ。
ここで撮影させて貰える喜びを噛み締めながら、今日も一カットを丁寧に撮ってゆこうと思った。