屋久杉の森で
強い雨だった。それを避けるため、しばらくそこでタープを張って雨宿りした。
結局雨は止まなかったが、小康状態になったのを確認し、タープを畳んでそこを出発した。目的地まではまだ遠い。ぐずぐずしていたら日が暮れてしまうからだ。
いつもいつも登りのときは、「なんでこんなことをやっているんだろう?」と自らの行為を訝りながらの自問自答が頭のなかでぐるぐる駆け巡る。
ここまでのリスクを冒し、自らの肉体に負荷をかけ、それでも撮影地に向かうこのモチベーションの源泉はなんだろう?
おそらく他者にこれが理解されることは無いだろう。でも、まあいいじゃないか。理屈はいらない。撮りたいから撮りにゆくのだ。理由はシンプルにそれだけでいいと思う。
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翌朝雨があがり、たっぷりの雨を吸い込んだ屋久杉の森は輝いていた。三脚にカメラをセットしてEVFを覗く。心が沸き立つ。
それでいいのだと思う。一カット、今日もまた一カット。
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