屋久島のともだち
2019年シーズンの8月最終週は台風崩れの低気圧が秋雨前線に湿った風を供給し続けたことから、北部九州を中心にまたまたひどい豪雨災害があった。屋久島もその余波を受けて不安定な天気が続き、なかなかカラリと晴れる日が無かったのだが、月が変わり9月に入ったところでようやく一息つき、本当に久しぶりに気持ちの良い晴れ間が広がった。
月替わりのタイミングは色々事務処理などやることが多くて忙しいのだが、隙間をみつけ最大2時間と決め、いつものポイントへウミガメの撮影に行く。大潮のこのタイミングには、いつもなら降りていけない岩場に撮影ポイントが生まれ、海面スレスレにカメラを構えることができる。だからいつもは使わないワイドズームをカメラにつけて、慎重に足場を選びながらそこまで降りて行った。
ファインダーを覗き込み、ズームをワイド端にしたら、PLフィルターを調整して海面反射を除去する。この広い画角のこのアングルで、この場所にウミガメが現れてくれたら、いい写真になるな、とイメージしたまさにその瞬間だった。ピンポイントでその場所にウミガメが浮き上がってきたのだ。僕はもう本能的にシャッターを押していた。
屋久島のともだちは、僕の心を読み取って、どうぞ写真を撮りなさい、と言わんばかりに、その場所に現れてくれたのだ。
肉体的にも精神的にもタフな夏がまだまだ終わらないが、こんなことがあるからもうちょっと頑張ろうという気持ちになれる。