森に流れる水
屋久島全体が花崗岩でできており、そこに降る多量の雨は、そこを覆う薄い地層の上を流れ下り、それはやがて集まって川となり海まで注いでいる。地下へ潜って伏流水となることがほどんどないので、水は主として地表面を流れ有機物などをほどんど含むことなく、いわば雨水のまま集まって川となっているのだ。
だから屋久島に流れる水は本当にやわらかい。口に含んだり、あるいは敏感な人は手で触れただけで、その柔らかさを感じ取ることができるくらいの軟水なのだ。
その軟水が深い森の奥から静かに流れ降っている様は優雅であり清浄だ。この森に流れる水には人の気持ちを穏やかにしてくれる作用があるような気がしている。