ダボーウミガメ
東部の海岸でウミガメの撮影をしている中で、とても珍しいシーンに遭遇した。二頭のウミガメが仲良く同じ方向へ泳ぎ、ほぼ同時に息継ぎに頭を出したのだ。僕の経験上、こうしたシーンは本当に珍しい。僕は興奮して、思わず「ダボー(ダブル)!」と叫んでしまった。
NHKのEテレで、香川照之さんが出演する「昆虫すごいぜ!」という人気番組がある。「人間よ昆虫に学べ」をテーマに香川さんが様々な昆虫の生態を紹介してゆく。確か「クマバチ」の回だったと思うが、捕虫網でクマバチを二匹同時に捕獲した香川さんが思わず「ダボー(ダブル)!」と叫ぶシーンがある。なんとなくあれが頭にあって、思わず僕もそう叫んでしまったのだ。
そういえば、昆虫採集と風景写真はどこか似たところがある。というか、狩猟全般と風景写真には、根底に似通った要素が満ちていると思う。自然というフィールドで、獲物である被写体と出会うのには、まず相手である自然を良く知らなくてはならない。風景写真家は、前提として優れたナチュラリストである必要がある。その意味では故郷の偉大な写真家「田淵行男」さんを思い出す。ナチュラリスト田淵さんの流れでいうと、それは水越武さんにつながり、そして屋久島だと山下大明さんへとつながる。こうした偉大な先輩を見習い、もっともっと自然とコミットしてゆかねばと思う。
撮影に関して言うと、このときは標準ズームで撮影していたので、広い絵で周囲の状況も写し込んだ。ウミガメだけを写してしまうと、それはどこで撮影しても同じ絵になってしまうので、焦点距離を変えて近景、遠景など複数のバリーションを状況説明の意味でも撮っておきたい。その為にも僕は16mmから400mmの焦点域をカバーするレンズセットを常に持ち歩いていたい。Panasonic Gシーリーズのレンズはコンパクトで軽いので本当に助かる。