春埜杉(静岡県)
樹齢約1300年/樹高43m/幹周14m
ILCE-7RM4+SELP1635G
行基菩薩が開山したと伝わる春埜山大光寺の境内に立つその威容は王者の風格。推定樹齢約1,300年の静岡県指定天然記念物(静岡県 春埜山)。
【春埜杉】
屋久島大学の小原比呂志さんがSNSに書かれていた記事でその存在を知った。写真を見る限り、そこまで魅力的に見えなかったが、気になる杉だったので取材候補に加えていた。しかし現地に行ってみてその受け止めが間違いだったことを思い知る。「圧倒的な存在感」もうそこに尽きる。
春埜山大光寺の境内にあり、山門をくぐって急傾斜地に続く石階段の下にその杉は悠然と聳えている。そこで間近に杉に対峙した瞬間息を呑んだ。
樹形は素直な形をしていて、上部の枝ぶりこそ複雑ではあるが主幹は杉らしく真っ直ぐで特徴が無い。写真に撮ると普通に見えるのだが、現場に行って目の前で対峙すると圧倒される。いままで著名な杉をいくつか訪ねてきたが、この春埜杉はその中でも特別な一本だと感じた。こんな杉があったのだと素直に驚いた。
しかし繰り返しになるが写真に撮ってしまうとその感じが出ない。以前縄文杉の大きさを明示するため、画面の中に鹿を待って写したが、そんなことをしている時間は無い。「杉の下に袈裟を着た住職に立って貰えたら絵になるのに。三好和義先生ならきっとそうするだろう」などということを考えながら、撮れるだけの写真を撮ってそこを後にした。
しかしと思う。こうしたフォトジェニックな巨木はどれもみな辺鄙なところにある。名古屋からレンタカーを駆って現場に行ったが、途中で何度か諦めようと思ったくらい山深い。行基菩薩も何故こんなところに古刹を開いたのか?と行くまでは訝かったが、現場を踏んでみて、なんとなくその意味が分かった。行ってみることは大切である(大変だけど)。