志々島の大楠(香川県)
樹齢約1200年/樹高約22.5m/幹周12m
ILCE-7RM4+SELP1635G
土砂に埋まった主幹の先から四方に太い枝を伸ばしたため特異な樹形となった。瀬戸内海に浮かぶ人口わずか17人の小さな島にある。(香川県 志々島)
志々島の大楠(香川県)
香川県丸亀市の西の海に浮かぶ面積0.74 km²という小さな島に、推定樹齢1200年という古い楠があるという。四方に大枝を伸ばしたその怪異な姿は一際目を惹き、多くの人がその姿を見ようとその島を訪れる。僕もその楠が見たくて志々島を目指した。
志々島へは宮の下港からの定期船が最短なのだが、訪問した6月は天空の花畑ツアーを目当てにこの島を訪れる観光客が多くいて、70名の乗船枠が直ぐ埋まること、またその観光客と一緒に上陸してしまうと、大楠をゆっくり撮影できないことが予想された為、須田港から粟島経由での一便で早朝に志々島に入ることにした。時間も費用も余計にかかったが、そうしたことで大楠に着いたときそこには誰もいなかった。
大楠の周りをぐるりと一周しながらアングルを探す。現場に行ってみると分かるのだが、カメラマン的視点から見るとこの大楠の撮影はなかなか困難だ。で、結局正面からドンと撮ることにした。
そしてこの写真をどう料理しようか?帰りの船の中で色々考えを巡らせていた。石橋睦美さんは「神々の杜」のあとがきで、日本人の風景に対する無配慮について書いているが、背景は違どこの大楠に関しても直接的なところで似た悩みがつきまとう。
結局この大楠を撮影したことで、一連の作品にどういったスパイスを加えるかの覚悟が決まった。その意味で大事な一枚となった写真だ。