湿潤な森
空間を埋めるように伸びた屋久杉の枝にびっしりと苔が繁茂している。雲霧帯と呼ばれる湿潤な森は見通せるすべての空間に湿気が満ちており、この場所ではこのようなことが起こる。枝先の苔は苗床の役目を果たし、そこにまた別の木本が芽を出し生を宿す。着生と呼ばれる現象だ。
こうした湿潤な森では樹上の植物まで調査しないと、この場所の全体像をつかめないという。森は重層的に、立体的に展開しているのだ。
森の上に別の新たな森が展開してゆく、それが奥深い屋久杉の森でおこっていること。そしてその生命の源はこの島に降る多量の雨である。つまり「水」なのだ。
水こそが重要であり、この島の原生を構成する重要な要素なのだ。