水辺の屋久杉
清冽な流れの辺に堂々たる屋久杉が聳えている。
屋久島は、島全体が花崗岩でできた大きな岩山であり、その土壌はミカンの薄皮のように貧弱だ。その僅かな土壌に根を張り巡らし、世界自然遺産に登録され得る豊な森が広がっている。それを可能にしている要素として一番重要なものは「水」だ。
この島に降る多量の雨、つまり「水」がその命を育んでいるのだ。
屋久島最大の切り株とされる「ウイルソン株(胸高周囲13.8m)」はその内部に清冽な水が湧いている。水源の近くに生えたことがこの屋久杉をここまで成長させたことは想像に難くない。
深い深い原生林の奥に流れる緩やかな流れ。その辺に立つ屋久杉も、たっぷりとしたこの島特有の「超軟水」を頼りに命をつないできた。
水面の美しい輝きこそがその源なのだ。