枯存木からの芽生え
苔むした屋久杉の枯存木に試し切りと思われるくぼみがあり、そこに広葉樹が芽生えていた。苔のベッドを苗床にし、高い場所で水と光の両方を得て生きるその様子は、雨の多い屋久島だから見られる風景であるとも言える。
試し切りと思われるくぼみは光を吸い込み暗く落ち込み、そこに射す反逆光が広葉樹の葉を輝かせている様がなんとも美しいと感じた。
僕はそれを写真に撮ろうと思ったが、足場がとても悪く三脚を立てることは叶わない。仕方なく手持ちでアングルを探るが背景の対角の隅に嫌なものが写りこみ、それをカットしようとするのだが、それがなかなか骨の折れることになった。
そんなときとても役に立ったのはDC-G9の「V.MODE」ボタンだ。G9のEVFはこのボタンを押すことによって倍率を3段階に切り替え可能だ。僕は眼鏡を使用しているが、裸眼になって視度調整を行い、更に倍率を0.7倍に設定すると、画面の四隅がほぼ見渡せる。こうなると手持ちでも微妙なアングル調整が可能になる。
三脚を使用する目的は、多くの場合長いシャッターを切るときにカメラを固定する為であるが、アングルをミリ単位で調整するためにも用いる。手持ちでファインダーを覗くとその四隅をキチンと見渡すことが、大概のカメラでは困難なので、ライブビューモードにして背面液晶で画面の四隅をチェックすためにカメラを固定する必要があるからだ。
しかし、DC-G9の「V.MODE」ボタンはこれを手持ちで可能にしてくれる。強力な手ぶれ補正と組み合わせると、その機能が本当に生きてくる。どうしても三脚を立てられないような場面で、EVFの倍率変更機能は、風景撮影の強力なアシストになると感じた。