オオゴカヨウオウレン
撮影日:2010年3月13日
撮影データ:NikonD700+AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED(焦点距離60mm)
ISO200 F22 1/2sec 露出補正-1.0 三脚使用
オオゴカヨウオウレン(大五加葉黄蓮)屋久島固有種。バイカオウレンに含めるという見解もあるが、バイカオウレンが匐枝を出して増えるのに対してオオゴカヨウオウレンは匐枝を出さない。島の標高500〜1600mの樹林下に生える多年草。 花茎は褐色を帯び、しばしば分枝して1〜3個の花をつける。花は直径8〜10ミリ。白い花びらに見える部分は花弁状の萼片で5個。中央に筋が入り、長卵状楕円形。花弁は黄色い浅いへら形で数枚、蜜を分泌し柄があり、さらにその周りを細長い雄しべが取り囲む。花期、2〜3月。
名残雪がゆっくりと溶けてゆく森の中、目をこらして林床を探すとオオゴカオウヨウレンの白い花があちこちに咲いている。せっかちにも雪の残る時期に花を咲かせるこの花を、雪と一緒に撮ってみたいと思っていた。
花はあるけど、雪の溶けるスピードも速く、花も小さいので、なかなか雪と一緒に花を撮ることは難しい。三日掛けて森を歩き回り、ようやく見つけた一輪。
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撮影データ:EOS-40D+EF-S60mmF2.8 マクロUSM(焦点距離60mm)
ISO100 F8.0 1/1sec 露出補正-0.5 三脚使用
図鑑の解説には「オオゴカヨウオウレンの花茎は時に分枝して1-3個の花をつける」とある。注目して観察しているが、なかなか分枝した株に出会うことがなかった。しかしこの日、ウイルソン株の直ぐ下で分枝した株をみつけて撮影することができた。不思議なもので、一つみつけるとその周りで幾つも見つけた。
また、「平凡社-日本の野生植物」によるとオウレン属の花弁は「蜜を分泌し」とある。黄色い花弁の浅いへら形の部分が蜜線になっているらしい。オウレン属が含まれるキンポウゲ科は虫媒花で、花の咲く時期から考えて「ハエ」の類がターゲットだと考えられる。ハエ媒花には、蜜腺が露出していたり皿型のように蜜腺に接近しやすい、白い花が多いようだが、白い萼片が花弁様に大きく発達しているのも、ハエをひきつける為ではないか?と考えている。
また、僕の故郷信州ではそろそろ同じキンポウゲ科の福寿草が咲き出す時期だ。春の遅い信州だが、この花が咲き出すと一気に雪が溶けて季節が明けてゆく。今年はどんな咲き具合だろうか?故郷に想いを馳せる。
撮影日:2005年3月19日
撮影データ:CanonEOS20D+EF100-400mmF4.5-5.6L IS USM(焦点距離390mm)
ISO100 F5.6 1/125sec 露出補正-0.3 EXTENSION TUBE EF12〓・三脚使用
撮影地:長野県松本市四賀村
フクジュソウ(福寿草:キンポウゲ科)北海道から九州まで、山地のやや明るい林内などに生える多年草。高さ10〜25センチ程度。枝先に直径約3〜4センチの黄色い花を1〜3個つける。花弁は10〜20個、萼片より長く、黄色で金属光沢がある。花期、3〜4月。
(2008年3月27日更新)
撮影日:2008年3月19日
撮影データ:EOS-40D+EF-S60mmF2.8 マクロUSM(焦点距離60mm)
ISO100 F22.0 1/250sec MT-24EX使用 手持ち撮影
先日高塚小屋で尊敬しているガイドの真津昭夫さんと同宿になった。オオゴカヨウオウレンの話になり、白い花びらに見える部分が実は花弁ではなく萼片だということをお互い確認したのだが「では本物の花弁はどれ?」という質問をされて僕は答えることができなかった。花弁は一見雄しべに見える黄色いへら形の部分なのだった。その話を聞いて、もう一度オオゴカヨウオウレンを良く観察してみた。そして「これが花弁なのか!」と驚くと共に確認して納得した。
オオゴカヨウオウレンはとても小さな花なので、クローズアップ撮影をするためにマクロ用のストロボ(MT-24EX)を入手した。定常光で苦労していた超クローズアップの撮影が手軽に出来るようになった。これからもっともっと花の構造にフォーカスをあてて観察してゆこうと思っている。
ちなみに3月20日前後、縄文杉コースだとウイルソン株付近、白谷雲水峡だと「もののけ姫の森」付近でちょうど見ごろになっていた
(2008年3月20日更新)
撮影日:2008年1月19日
撮影データ:EOS-40D+EF-S60mmF2.8 マクロUSM(焦点距離60mm)
ISO100 F5.6 1/3sec 露出補正 -1.5 三脚使用
今年最初にこの花を見つけたのは1月12日の白谷雲水峡で。その後縄文杉コースでも何度か目撃した。屋久島は年末年始に稜線で1mに届きそうな雪が降ったが、その後寒の戻りがあり20日も小瀬田の海岸部では昼間窓を開けて部屋の中へ風を通すくらいの陽気。元々この花は雪を割って咲く、とびきりせっかちな花なのだが、それでも図鑑によればオオゴカヨウオウレンの花期は2月からとなっている。この陽気にビックリして咲いてしまったのだろうか?また図鑑でも1985年発刊のものは花期が3〜4月となっている。温暖化の影響で徐々に花期が早まっているのだろうか?
ところで、雪を割って咲く、とびきりせっかちな花といえば僕の故郷信州では同じキンポウゲ科のセツブンソウを思い出す。その名の通り節分の頃咲く花なのだが、江戸時代にはこの花を節分の頃に売り子が「セツブンソウはいらんかね?」と言って売り歩き、その声で人々は春を知ったのだという話を聞いた。愛好家の間で人気があり、乱獲のため絶滅危惧種となってしまった。信州でも自生地は限られている。
撮影日:2005年3月15日
撮影データ:CanonEOS20D+EF100-400mmF4.5-5.6L IS USM(焦点距離285mm)
ISO100 F5.6 1/60sec 露出補正-1.3 EXTENSION TUBE EF12〓・三脚使用
撮影地:長野県塩尻市
セツブンソウ(節分草)本州(関東・中部)の夏緑広葉樹林林床に生える多年草。草丈5〜15センチ程度。茎先に直径約センチの白い花をつける。花弁状の部分は萼片で5個あり卵形で長さ1〜1.5センチ。花期、2〜3月。
(2008年1月21日更新)
参考(オオゴカヨウオウレン)
山に咲く花―写真検索 (山渓ハンディ図鑑)P325
決定版 山の花1200-山麓から高山までP418
屋久島の植物―世界自然遺産の島P27
日本の野生植物―草本P〓-38(77)
屋久島・花の旅P145
花暦・花の旅P12
屋久島の植物カイドP122
参考(セツブンソウ)
山に咲く花―写真検索 (山渓ハンディ図鑑)P321
決定版 山の花1200-山麓から高山までP391
参考(フクジュソウ)
山に咲く花―写真検索 (山渓ハンディ図鑑)P332
決定版 山の花1200-山麓から高山までP414