空の写真帰る場所
懐かしい人から新刊書が送られてきた。相手は東京でフリーランスのフォトグラファーとして活躍している平野晋子さん。 かつて、東京・赤坂のスタジオで、カメラマンアシスタントとして一緒に働いたことがある。
僕が一時写真の世界から離れている間も、彼女は着実にフォトグラファーとしての実績を積み上げ、雑誌、広告、音楽CD・DVDジャケット、タレント、女優写真集、映画スチール’09年秋公開「女の子ものがたり」、「100万円と苦虫女」他多数、美術画集「全景」など多方面で活躍している。またアサヒカメラ 2008年 07月号ではハッセルブラッド500Cで撮影したモノクロプリント「One Life -暮らしの記憶-」が5ページに渡って特集されている。
本の内容は、主人公、青木なみ に自身を投影し、普通の女の子がアシスタントを経てプロのフォトグラファーになり、銀塩とデジタルの狭間で右往左往するといった、彼女の今日までを書いたものだ。デジタルからフォトグラファーの世界に入る、20代の若い世代に読んで貰えたら、と手紙の中で彼女は書いていた。
青木なみ のアシスタント時代を書いた部分のエピソードには、僕の記憶に合致するものが幾つもあった。そういえば、そんなこともあった、と懐かしく読んだ。また、撮影をデジタル化したことで鈍くなってしまった銀塩時代の露出への拘りなどを、読み進むうちに思い出し、もう一度そのことに拘ってみようと思ったりもした。たしかに、デジタルから写真の世界に飛び込んだ若い世代に読んで貰いたい内容だと思う。
本のタイトル文字とデザインは画家の大竹伸朗さん。帯にミュージシャンELTの持田香織さんが散文詩を寄せている。
また、これはまったくの余談だが、我が家の玄関に飾っていある大きな羽のモノクロプリントは、平野さんの作品。彼女の最初の個展「東京~sand box~」で展示されたメインカット。なぜか我が家にある。