神様のクボ
ローソク岩展望台で撮影を終えた僕は、更に昨日来た道を登り返して永田岳のピークへ向かった。
今回の撮影旅行で、ローソク岩展望台と共に、どうしてもそこに立って撮影したいと思っていた「神様のクボ」を目指していたのだ。
鹿之沢方面から永田岳への登り返しはやはりキツイコースである。額から吹き出る汗を首に掛けたタオルで拭いながら、一歩一歩高度を稼ぐ。立ち止まって視線を上げれば、そこには昨日から変わらず満開のヤクシマシャクナゲが咲き誇っている。しかし、この日僕はこの場所で撮影を行うことはなく、先を急いだ。理由は、台風4号が南大東島の南東海上を北上しているらしく、上空を雲が物凄い速さで流れていて、この後の天気がとても心配だったからだ。
8時20分、昨日ザックをデポした永田岳直下の標識まで辿りつき、やはりそこにザックをデポ。撮影機材だけを抱えて神様のクボへ向う。台風の影響で、永田岳の山頂付近は物凄い風が吹いている。やっとの思いで神様のクボへ辿りついたが、丁度風の通り道となっていたその場所もやはり風が凄い。急坂をエンジン全開で登り、オーバーヒート寸前だった僕の体も、1800m近辺に吹く強風に晒されて、見る間に体温を奪われてしまった。
このままではマズイと思い、機材をそこに置いたままザックをデポした地点まで戻り、ウインドブレーカーを羽織ってきた。二度手間になってしまったが、撮影に集中するためにも、自分の体の保護というのは最優先させなれば、と思っていたからだ。
三脚を立て、そこに留まり15分ほど撮影を行った。風は東から西に向けて吹いており、カメラを構えた僕の背面からガスを伴って永田集落の方向に抜けてゆく。麓付近は霞んでおり、永田川河口などは確認できなかったが、急激に切れ落ちて高度を落とす永田渓谷の様は見事だった。
神様のクボ
撮影データ:EOS-20D+EFS-10-22mmF3.5-4.5USM(焦点距離10mm)
ISO100 F22.0 1/160sec 露出補正 -2/3 三脚使用