ラピュタの石
6月6日(月)、朝4時半起床。福岡から来たカメラマンといっしょに縄文杉デッキへ撮影にゆく。
朝日に照らされた縄文杉を期待したのだが、生憎この日の朝はガスが出て、しかも小雨模様。何カットか押さえてから早々に撮影を切り上げ、荷物をまとめて高塚小屋を後にする。本日は鹿ノ沢小屋まで行く予定なので、先を急ぐことにしたのだ。
順調に1時間ほど登って、新高塚小屋着。小休止の後更に先を急ぐ。ヒメシャラの森の辺りから、見事な花を咲かせたシャクナゲをところどころに見かけるようになる。天気も回復してきた。期待して更に先を急ぐ。午前10時ちょうどに、第一展望所に到着した。
第一展望所から奥岳方面を望む
彼方に宮之浦岳や永田岳が見える。風が強く雲が物凄い勢いで流れているが、空は晴れている。小休止の後登山道に戻り、更に先を急ぐ。そのとき登山道脇に、ヤマグルマに巻きつかれた巨大な花崗岩の岩を見つけた。
ゆるい傾斜の上にあるそれは、ヤマグルマが巻きついていなければ当然転げ落ちているはずだが、ヤマグルマの根がガッチリ巻きついて捕まえているので、何とも不自然な状態でその場に留まっている。このとき僕は、宮崎駿監督の映画「天空の城ラピュタ」を思い出していた。
映画のラストシーンで、パズーとシータは滅びの言葉を唱える。それを受けてラピュタは崩壊し、巨大な飛行石は天に昇ってゆくのだが、それはラピュタに根を張った巨大木に捉えられてしまう。ヤマグルマに巻きつかれた花崗岩の大岩を目の前に、あのときのシーンが浮かんできたのだ。
僕はこの石を勝手に「ラピュタの石」と命名し、映画を思い出しながら撮影した。
ラピュタの石
撮影データ:EOS-20D+EFS-10-22mmF3.5-4.5USM(焦点距離10mm)
ISO100 F5.0 1/6sec 露出補正-1/3 三脚使用
屋久島つながりで宮崎駿監督の映画と言えば「もののけ姫」が有名だが、僕は屋久島を歩きながら、どうしても「天空の城ラピュタ」の方を強く思い出してしまう。それだけ、屋久島の景色と、ラピュタで描かれていた景色とには共通点があると思うのだ。詳しく調べたことはないのだが、ラピュタを作る前から、宮崎監督は、屋久島を強く意識していたのではないか?と思っている。