サツキ川原
6月5日(日)午前6時、荒川登山口に到着した。
天気晴れ。休日ということもあり、登山口は既に沢山の登山者で賑わい、みな出発の準備をしている。ほとんどの人は軽装備で、縄文杉までの日帰り登山が目的と思われる。
未だ朝飯を食べていなかった僕は、コッヘルでインスタントラーメンを作って食べた。今日は高塚小屋に泊まる予定なので、日帰り登山者が全てスタートした後に、ゆっくりと出かける積もりなのだ。
荒川登山口は6時30分からスタートのピークを迎え、トイレには長蛇の列が。男性側はそれほど込み合わないが、女性側は物凄い。登山道にもう1箇所トイレはあるが、それは2時間歩いた先の大株歩道入り口なので、トイレはここでキチンと済ませておく必要があるからだ。
朝飯を食べた僕は装備と機材の点検をはじめた。半分が撮影機材となった荷物の総重量は20kgを超えている。もう少し絞れたかもしれないが、小屋泊まりで4日の行程を予定していたので仕方ない。
午前7時、最後のグループがスタートするのを待って、僕もスタートした。最初の鉄橋を渡って小さなトンネルをくぐる。センサーが人の来たことを感知して、トンネルの中に白熱電球が点る。1年8ヶ月前、朝4時スタートで漆黒の闇に繰り出して直ぐ、このトンネルで人工照明に照らされ、文明のありがたさをしみじみ噛締めたことを思い出す。
ここのところ雨が降っていなかったのか、トロッコ軌道の登山道は乾いていた。いつものようにハイペースで飛ばすこともなく、この日は景色を楽しみながら、ゆっくりと歩いた。
幾つか鉄橋を渡り、小杉谷の事業所跡に来た。川原には見事にサツキが咲き誇っている。どこかにいい撮影ポイントが無いか探しながら歩くが、なかなかそういう場所が見つからない。結局そのまま楠川別れまで歩いてしまった。
するとその少し先にトラロープをはって、川原へ降りられるようにしてある場所を見つけた。ザックをデポして撮影機材を取り出し、川原へ行ってみる。そこは手前が深い淵になっていて、その向こうにサツキが群生していた。三脚を立て、構図を決めて何カットか撮影した。
荒川に群生するサツキ
撮影データ:EOS-20D+EF100-400mmF4.5-5.6L IS USM(焦点距離100mm)
ISO100 F8 1/80sec 三脚使用
暫く休憩の後、機材をしまって帰ろうとしたとき、傍らの小さなサツキの株に目が留まった。大雨が降ると多分この株は水をかぶってしまうはずだ。それなのに岩に張り付いた僅かなコケの苗床に根をめぐらし、見事な花を咲かせている。屋久島が生命の島といわれる所以はこのあたりにあるのではないか?と思い、カメラをもう一度出して、手持ちで数カット撮影した。
岩についたコケを苗床として見事な花を咲かせていたサツキ
撮影データ:EOS-20D+EFS-10-22mmF3.5-4.5USM(焦点距離16mm)
ISO100 F4 1/160sec 手持ち撮影