トッピー
8時35分に出航したフェリー屋久島2は12時30分に宮之浦港に入る予定になっている。
片道約4時間の航海。最初の2時間は錦江湾の中を進んでゆき、後半2時間は外海へ出て屋久島を目指す。
錦江湾の航海では、最初左舷に桜島が見え、 進むに従って右舷に指宿の町、長崎鼻や開門岳が見える。先回屋久島を訪問したときは、屋久島へ渡る前に開門岳に登った。当日とても天気が良く、登山道から南の海に島影を見て、あれが屋久島だと大はしゃぎしたことを思い出す(本当は硫黄島で、屋久島はあんな小島でないということを後で知る)。この日は天気がイマイチで、開門岳はその頂を低く垂れ込めた雲の中に隠していた。
僕は手荷物として船室にEOS20Dと、EF-100-400mmという望遠ズームレンズを持ち込んでいた。どうしてこんな大掛かりな機材を持ってきたかと言えば、先回船の上で、海上を滑空するトビウオの群れを見たからだ。あれを写真に撮れないものか?と考えていたのだ。それで望遠ズームつきの20Dを抱えて、時々船室から出てデッキの上をウロウロしていたのだが、今回は残念ながら、トビウオの群れを見ることはできなかった。
代わりと言ってはなんだが、猛然と水煙を上げてフェリー屋久島2を追い抜いてゆく、トッピーに出くわし、20Dを向けて何カットか切った。
トッピーの向こうに小さくヨットの三角帆が見える
撮影データ:CanonEOS20D+EF100-400mmF4.5-5.6L IS USM
ISO100 F8.0 1/3200sec 手持ち撮影
最初左舷後方に小さな船影として現れたそれは、近づくに従って速度を増し、こちらに並んだかと思うとあっという間に抜き去って行ってしまった。どんな乗り心地なのか?機会があったら一度乗ってみたいものだと思った。
薄日は差していたが、外海に出てもこの日の天候はイマイチで、視界は悪い。本当だったら左舷にべったりと寝そべったように見えるはずの種子島も今日は見えない。サロンのソファーで転寝していると入港30分前のアナウンスが聞こえてきた。デッキへ出てみると、前方に島影が見える。1年8ヶ月前、「もう一度来るからね」と約束した屋久島が目の前に迫ってきた。「ここまで長かったな」と、とても個人的な感慨に耽ること何秒か。夢にまで見た屋久島を今再び目の前にして武者震いがおこった。
前方にうっすらと宮之浦港が見える