薫蓋樟(大阪府)
![](http://fotoguide.jp/wp-content/uploads/2024/12/014_DSC0465.jpg)
樹齢約1000年/樹高約24m/幹周13.1m
ILCE-7RM4+SELP1635G
大阪府門真市の三島神社境内にある府内最大の楠である。薫蓋の名は、江戸時代末期の公卿である千種有文の歌に由来する(大阪府三島神社 )。
薫蓋樟(大阪府)
あるとき誰かが「大阪府門真市にも驚くほど大きな樟がある」という投稿をSNSで発信していて興味を持った。調べてみるとそれは三島神社境内にある「薫蓋樟」であることが分かった。
JRと大阪メトロを乗り継いで、最寄りの門真南駅に向かう。階段を使って地上に出ると上空を高速道路の巨大で無機質な高架が覆っていた。ちょうどそこは門真JCの真下にあたり、行き交う大型トラックのロードノイズがひっきりなしに上から降ってくるような場所だった。
Googleマップを頼りに三島神社を探す。住宅街を抜けて交差点をわたると前方の建物の屋根の上にこんもりと繁った樟の巨木が見えてきた。
三島神社の境内に足を踏み入れると、不思議とそこは別世界だった。芽吹いて間もない萌葱色の若葉に赤い古葉が混じった薫蓋樟の枝は境内の上空にもりもりと盛り上がって、吹き抜ける風にそれがさらさらと音を立てここを神聖な空間に変えていた。
撮影しようと鞄をベンチに置いてカメラをセットしていると、近所の住人と思しき人が入り口で一礼してから境内に入ってきた。そうした人は僕が撮影している短い時間の間にも複数人現れ、この樟が地域の住人にとってかけがえの無い存在なのだということが伺い知れた。
しかし撮影に際してアングルを決めるのには苦労した。境内は狭く樟の大きさに対して必要な引きがとれない。また例によって日本の神社はその境内に風景に水を差す障害物が多く配置されている。
悩んだ挙句、この樟の特徴である幹周の太さを表現しようと地面にカメラを直置きし、僅かに仰角をとってシャッターを切った。後処理で樹名の由来になった千種有文の歌碑をどうするか最後まで悩んだが本来の魅力を復元するという趣旨を優先させることにしてこの形に落ち着いた。